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僕たちの歴史

遺伝子のその形の如く、私達は歴史を背負っている。切っても切れない螺旋の様に、その形は続いている。

映画・「パッチギ!」を後半だけ見た。在日朝鮮人の男子学生が死んでしまい(事故だったのか他殺だったのかは分からないんですが)、その友人だった主人公の日本人学生が葬式に訪れるが、その時、友人の祖父(で良いのかな?)に「帰ってくれ」と言われてしまう。

「日本の国会の大理石を積み上げたのは誰だ?!若いもんは、そんな事も知らないで」

この後に続く台詞は何だったのだろう?「そんな事も知らずにのうのうと生きて」だったのではないか。―言いたくなるさ。強制連行、慰安婦という名の強姦犯罪。全てが事実では無かもしれない。でもそれにしたって、どんだけの事、やってきたんだよ。私の先祖は。

「平和ボケした日本人」、「無知な国民」。まるで、その罪の重さを知らないかのように罵られる私達。
でもね、わかって欲しい。私だって好きでそんな汚い歴史を背負ったんじゃないんだ。それがエゴだって判ってる。でもこの事実は、世界中何処でも同じじゃないのか?認め合えない現実を身に染みる程噛み締めていても、私の中でこれだけは消えない。少なくとも私が過去の歴史を想って卑屈になるのは、私が犯した事だからじゃ無い。私が近隣諸国に顔向け出来ないのは、…全ての祖先がいたからなんだ。
もし合間見える事が出来るのなら、現代の日本の有様を、彼等の目前に突き付けてやりたいよ。

「お前らは、どんだけ私の顔に泥を塗ってくれたんだ」

…と。私は望んじゃいない歴史を背負って生きていくんだ。これからもずっと。…こんなこと言うのがエゴだって、判っているよ。私がその時代そこにいて、同じ事をしない保障は無いんだ。
今この時、同じく私の様な人間に、エゴをぶつけられているかもしれない。
そして私も、いつかその内の一人になる。後世に泥を塗り、希望を抱かせる歴史の内の一人になる。

留学生の友達―繋がってる筈なのに、時々、自分の中で溝を作ってしまう。「ごめんね」言わなきゃ、顔向け出来ないって。

「私がやったんじゃないよ、私がやったんじゃない。」
そんな言い分、世界は聞いてくれやしない。
それは皆同じだから。
日本には忘れちゃいけない過去がある。韓国だって中国だって、イギリスだってアメリカだってドイツだって、アフリカだってケニアだって、どこだって。積み上げてきた歴史という名の道を、歩いてきたんだ。

もしも今までの歴史が無かったら、今頃、「私」という遺伝子は存在しないのかもしれない。1分1秒、狂っただけでも。

私の後ろは瓦礫だらけ。積み上げて積み上げて。そんな醜くい瓦礫の上を、歩いて来たんだ。けれどそれは、時々美しい。命が瞬く音がする。

私がこうして生きていられるのは、全ての祖先がいたからなんだ。

親も親戚も友達も先生も、振り返ったら、同じ人間。
日本人も韓国人も中国人も、イギリス人もアメリカ人もドイツ人も、アフリカ人もケニア人も…振り返ったら、命の起源は同じかもしれない。

私は瓦礫の上を生きている生命。この命が尽きるまで、私の瓦礫を乗せながら、歩いて行くんだろう。

生きている限り、嫌でも背負っていかなければならないのかもしれない。
しかし、私はこれから、先人と同じくそれを積み上げていくのだろう。生きた証と共に既に積み上げられた瓦礫の上に、新たに瓦礫を乗せて行く。そうやって紡がれてゆく時代。

刻み込まれた記憶は、離れることなく中に残って、私を形作って行く。
私達は皆何処かで、それを抱えて生きて逝くのだろう。いずれどこかで訪れる、死の世界まで。

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