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卑劣な贖罪。

決して綺麗な思い出話ではない。
中学の時、私は友人―知人と呼ぶべきなのだろうか?実質、話をしたのは1日にも満たない。―を事故で失った。

失う事は、世に生まれて来た以上付き物だ。だから、私はそのまま死を受け入れた。泣くことも、感傷に浸ることもなく。

ここまでで、私が如何に薄情な人間かが分かるだろう。
そして、非常に冷徹である。これらを踏まえて読んで欲しい。

彼女は同級生から虐めを受けていた。内容は思い出せないが、聞けばほとんどの人間が顔を顰める様な内容である。私は彼女の口からそれを聞いていた。

当時、クラスから外れていたのは私だったが(それが良かったと、今でも思う)、彼女は長い間それらに耐え、「自分が無視されるのは当然だ」という様な感覚さえ垣間見えた。
彼女曰く、「(彼女を)虐めていた者は、今も何も思っていない」との見解だった。

しかし、彼女が亡くなった当時、中二の秋頃だったか。
彼女の死の報告を学年集会で聞いて、咽び泣くクラスメイト達の姿があった。
わんわんおんおんと、学級に知らしめるかの様に。
わざとらしい咽びが、「何もしていません」、「何も無かったんです」という言い訳の様に聞こえた。
彼らの中に、虐めに加担していた者がいるのを、私は知っていた。
フィルターを取り除いても尚、彼らの顔は、どこか平然としていた。本当に「哀しんでいる」のとは、何か違った。
唯、耳障りな声を上げているだけで。

そして、その勘は当たる事になる。

次の日から、あれほどまで涙を流していた彼らは、終始あっけらかんと過ごしていた。―悔いる事も無く。

私は、反吐が出た。

「偽善」ってのは、こういうことなんだと。
本物のそれは汚らしく、醜悪な臭いを放つ。鼻が捥げる様なあの感覚。

『クズが』

私は、そう心の中で呟いた。

『こんな馬鹿げた奴らとやってられるか』『てめぇらとつるんでたら、何処へも行けなくなるわ』と、この時、完全に「人を自分の中から排除する」方法を覚えた。幼少抱いていた「全人類平和ロマンス」も、頭の隅に残る事無く、掻き消された。
本来の現実直視主義が、顔を出したのだ。それは今、非常に役立っている。重宝すべき本質だろう。

それ以来、他の事実も重なり、『幼馴染以外、小中で一緒だった連中とは、誰一人としてこれ以上親しむ事も無い』と割り切り(案外、その選択は正解だった。関わっていたら足を引っ張られ、今の自分は無いだろう。A地区は唯でさえ教育環境が悪い。これは今でも言える。勿論、良い人もいた)、卒業までを過ごした。

裏で陰口を叩き合う様な薄っぺらな関係など、私は求めてはいなかった。

そして待ちに待った卒業式。要らない学校―ここの先生と生徒からやっと解放される。

「用済み」だと思った。

確かにそうなった。

―しかし、偽善はもう一つあった。
それが人を感動させる為の美しい行為だとしても、その人物が如何に評価されようとも、私の中で、この二文字だけは消えない。
「偽善」の二文字が。

あの気持ちは何だったのか。説明するには、「嫉妬」という言葉が一番似合うだろう。

『何故、それをお前が言うのか』と。

『何も知らないくせに』

『格好付けるな』と。

私は、彼女の一部しか知らない分際のくせに、そう思った。

「体育祭、そこには一つの鉢巻きがありませんでした」

この言葉が、唯、涙を誘うための演出だったのか、本当に彼女の死を慈しんで言ってくれたのか、私には分からない。その人は後ろを向いていた。けれど、彼女とその人との接点は、まるで無かった。

しかし私は、偽善なんかより、もっと性質が悪い。

自分がそれを思う事を良しとし、他人にそれを渡さないのである。

そして、『哀しい』とすら思いもしなかった人間が果たして、彼女の死を慈しめるのだろうか?―いや、慈しめたのか。

友人と呼ぶか知人と呼ぶかなど、迷走以外の何者でも無い。

―きっと、そこに愛は、無かったのだと、思う。

私は「死」だけを、見つめていた。

私も何も知らなかったのと同じ様なものなのに、思い返しては今でも平然と、こんなことが言えるのだから。

出向くことの無い彼女の家族は今、どうしているか。

一度も見たことの無い彼らに会ったとして、その時何を言うつもりなのか。

恐らくはいつも通り、だろう。

今の私には、自分の行く道すら、不透明である。

それはいつの時代も、同じことだけど。

―彼女は最期、その瞼の裏に、何を見たのだろうか―

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